気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】

「こっちに向かうところですか?」
『あ、うん。ごめん、美織、今週末は行けそうにない』
「えっ……」


思いがけずキャンセルの電話だった。


『じつはちょっと風邪気味でね。……コホッ』


あぁそれで声がかすれていたのかと合点する。
史哉は電話の向こうで小さく咳き込んだ。


「大丈夫ですか?」
『陽向にうつすわけにはいかないから、こっちで静養することにするよ』
「熱は? 今どこですか? 咳以外でなにか症状は?」
『一気に聞かれても困るな』


電話の向こうで笑うが、当然ながらか弱い感じだ。


「ごめんなさい。でも――」
『大丈夫。子どもじゃないんだ。ゆっくり休めば回復するから。それよりそっちに行けなくて申し訳ない。昨日の電話で陽向と約束したのに』
「謝らなくてもいいですから。陽向のことなら心配しないでください」
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