気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】
飛びつく勢いで抱きつくと、彼はソファの背もたれに体勢を崩した。
「賛成してくれて僕もうれしいよ」
美織の興奮を宥めるように背中をさする。
看病をしにきただけのはずが、思いがけず気持ちが華やいだ。それと同時に、あるひとつの決意が美織の中で大きく膨らんでいく。それはもはや、どうにも制御できなくなっていた。
「史哉さん、私もお話があります」
「美織も? なにかな」
体を起こし、優しく微笑んだ史哉の瞳が小さく揺れる。
「私、ここで史哉さんと暮らしたい。陽向と三人で」
史哉は目を大きく見開いた。
「昨日からずっと考えていたんです。大事な家族が体調を崩したときにすぐに駆けつけられないなんて、やっぱりおかしい。なにかあったときにそばにいられないのはつらいんです」