気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】

週末婚を選んだときには、今のような状況を想像していなかった。
琉球ガラスは美織にとって大切なものだが、史哉はそれ以上にかけがえのない人。限りある人生をその人のそばで過ごさないなんて、最期を迎えるときに絶対に後悔する。


「それに……」
「それに?」
「私が沖縄にいるときに女性がここに出入りするのも嫌なんです」


いくらハウスキーパーとはいえ、史哉が魅力的な男性だからこそ一〇〇パーセント信頼するのは無理なのだ。

テレビのインタビューのときもそう。彼は人の心を簡単にさらってしまう。
女性のほうが好意を持ち、史哉にアプローチを仕掛けるかもしれない。先ほどの彼女には失礼な妄想だとわかっている。でも、心配の種はどうしたって消えてくれない。

それなら美織と陽向が東京へ越してきて、三人で暮らすのが一番だ。


「ヤキモチをやいてくれたわけだね」
「……そうです。私以外の女性が、私より史哉さんの近くにいるのはいや」


史哉が困ったようにくすっと笑う。
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