気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】
カートに載せてきた段ボールを開け、中からいくつか商品を取り出す。
「わぁ、素敵ね。ゆくるさんのガラス細工はうちの店でもとっても人気だから待ってたわ」
「そうおっしゃっていただけるとうれしいです」
商品を一つひとつ丁寧に確認しつつ、カラフルな珊瑚をイメージしたグラスを手にした渚に「ありがとうございます」と頭を下げる。
「美織さん、いつも遠くまでご苦労様」
奥からオーナーの拓也が顔を出した。渚の四つ年上の夫である。
パーマをかけた黒髪は無造作にまとめられ、沖縄の人特有の彫りの深い顔立ちに顎髭を生やしたワイルドな人だ。
拓也はもともと沖縄に暮らしているが、渚は東京出身。彼が仕事で東京に行ったときに彼女と出会い、結婚してこちらに連れてきたと聞く。
「電話でもくれれば、車まで受け取りにいったのに」
「お気遣いありがとうございます。でも台車があればなんでもないですから」
「そう? まぁなにかあったら、いつでもなんでも言ってよ」