気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】

史哉の眼差しが熱を孕んで甘い。どちらの瞳を見たらいいのかわからず、美織のふたつの瞳がゆらゆらと揺れる。

気持ちがどんどん高ぶり、彼への想いが大きく膨らんでいく。

摘み取っていたはずの恋心は、その根をいつの間にか美織の心に深く根づかせていたみたいだ。

ゆっくり顔を近づけてきた彼と、唇が触れ合う。
体が強張り、初めての経験に鼓動が急速にスピードを上げていく。それとは裏腹に心はふわふわと舞い上がった。

優しく擦り合わせていたのは最初だけ。彼の舌先が唇をくすぐり、開けろと甘い要求をする。それに導かれるように薄く開くと、史哉の舌は難なく侵入を果たした。


「――っん」


弾力のある舌が美織の舌を絡めとる。一瞬で体中が粟立ち、声にならない吐息が漏れた。

交わり合った舌がキスの温度を一気に上げていく。初めての感覚に全身から力が抜けてしまう。

彼の舌が歯列をなぞり、頬の裏や上顎を舐め上げ、美織の唇の隙間からはとめどなく吐息が零れる。なにも考えられず、ただお互いの熱を混ぜ合わせ、大きくなっていく想いを伝えた。
< 64 / 309 >

この作品をシェア

pagetop