気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】
「キミがほしい」
キスを解き、史哉が吐息交じりに囁く。
バンクーバーを発つのは明日の朝。次にいつ会えるかはわからない。
彼への気持ちを自覚した今、彼の言葉を拒む理由はなかった。
「……抱いてください。――きゃっ」
恥ずかしいのを押し殺して返すと、史哉は美織をその場で抱き上げた。
彼の首にしがみつき、寝室へ連れられる。そこはブラックを基調とした落ち着いた空間だった。壁やチェストなどを薄めのシャビーウッドでまとめた雰囲気がとてもおしゃれだ。
しかし初めての展開を迎えた美織には、そんなことに気を取られている余裕はない。そっとベッドに下ろされたが、自分の両手を胸の前でぎゅっと握り合わせ、体は緊張に打ち震えていた。
その手を優しく解き、史哉が指を絡ませる。
「そんなに緊張しなくても」
ガチガチになった美織を見て、ふっと笑みを零す。