気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】
史哉から帰国すると連絡が入ったのは、それから一カ月が経過する頃だった。
その間はメッセージや電話で毎日のように話していたが、実際に会えるとなると喜びもひとしお。指折り数えた当日、彼に指定された待ち合わせ場所は世界的にも有名な高級ホテル、ラ・ルーチェだった。
仕事を終え、待ち合わせたフロントロビーへ急ぐ。
この日のために買ったクラシカルな小花柄がかわいらしい黒いワンピースは、ショップ店員の『エレガントに見えますよ』のひと言で即決。大人な史哉に少しでも近づきたい一心だ。
スカートの裾を揺らしてロビーへ行くと、彼は先に到着していた。
初めて見るスーツ姿の美麗な彼に鼓動の制御が効かない。ネイビーのスーツは引きしまった彼の体にしつらえたようにフィットしている。
史哉は美織を見つけるなり駆け寄り、人目も憚らず抱きしめた。
「ふ、史哉さん……!」
驚いたのと恥ずかしいのとで体は硬直。おまけに顔は真っ赤だ。
予想外に情熱的な再会だった。
「美織、会いたかった。元気だった?」