気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】
美織を引きはがし、史哉が顔をまじまじと見つめる。一カ月も会えなかったのが嘘のよう。ふたりの間にあった空白の時間が、彼に見つめられただけで一気に埋められた感覚がする。
「はい。史哉さんもお元気そうでよかった」
「元気に見えるのだとしたら、僕はなかなかポーカーフェイスがうまいようですね」
「どこか具合でも悪いんですか?」
帰国したのは昨日の夜。時差で体調を崩したか。
「美織に会えなくて寂しい想いをしていたから」
恥ずかしげもなく言われ、さらに顔が熱くなる。このままここでキスでもされたらかなわないと、彼から一歩離れた。
海外生活が長いから、愛情表現もストレートなのかもしれない。
「そんなに警戒しなくてもいいんじゃない? やっと会えたんだから」
「そうなんですけど、人がたくさんいますし……」
先ほどからやけに人の視線を感じる。それはたぶん史哉が目立つせいだろう。容姿端麗な彼は、その存在だけで目を惹きつけられてしまうから。