気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】
彼の言葉の意図が掴めず呆けたような顔になる。
「その前に食事と、美織の話を聞かせて」
「私の話なら、もうたくさん聞いてもらっていますよ?」
ふふふと笑いながら返す。電話やメッセージやり取りでは、史哉の質問に美織が答えるほうが多かった。
「まぁそう言わずに。そういえばバンクーバーで知り合ったとき聞いた覚えがあるけど、幼い頃は沖縄にいたとか」
「はい。祖父のガラス工房の近くに家があって」
「沖縄のどのあたり?」
「読谷村です。那覇空港から一時間弱のところにあります」
「読谷村?」
史哉の目がパッと輝く。
「行ったことがありますか?」
「その先の恩納村には、これから行くことになるかな」
「そうなんですか! お仕事ですか? あ、でも、トレーダーとは関係ないのかな」
美織が暮らしていた沖縄を介して、親密度がさらに上がった気になる。