気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】
祖父に弟子入りして三年あまり。その間に妊娠や出産もあり、琉球ガラス工芸家としてはまだまだ新人のため、渚の言葉はこの上なくうれしく俄然やる気が湧いてくる。
「奥でちょっとお茶でも飲んでいかない?」
「ぜひそうしたいのですが、息子のお迎えがあって……」
腕時計で時間をたしかめてから肩をすくめる。
ほかの工芸品の話や流行など渚ともっと話をしていたいのはやまやま。でも陽向はなによりも優先したい。
「そっか。そうだったわね。陽向くん、いくつになったんだっけ?」
「二歳半です」
「一番かわいい盛りよね。うちの子も、たまに小さい頃に戻ればいいのにって思うことがあるの」
渚がふふっとやわらかく笑う。
彼女には小学一年生の娘がいる。とても礼儀正しく、賢い子だ。
「萌花ちゃんもかわいいじゃないですか」
「女の子って、小さいうちから大人顔負けの〝女〟でね。だから私には容赦なくて。この前なんて、『ママ、お化粧濃くなったんじゃない? おばさんっぽく見えるよ』って」
「ふふ。それはグサッと突き刺さりますね」