気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】
「たぶん違うと思います」
「そう? でもほら、例のトレーダーの彼とは順調なんだよね?」
つまり体の関係もあるでしょう?と言いたいのだろう。
「だけど避妊はしているので……」
恥ずかしいのを押し殺して小さな声で白状する。
彼はいつもきちんと避妊具を着けてくれていた。……と思う。
毎回しっかり目でたしかめているわけではないが、無責任な人でないのは美織がよく知っている。
「それだって一〇〇パーセントではないと思う。念のため検査薬を試してみたら?」
妊娠の二文字が、いきなり美織のことを揺さぶりにかかる。まったく考えていなかったため、血の気が引くのを感じた。
「そう、ですね」
きっと違うだろうが、あやふやにして不安になるよりはいい。
心配そうにする由良と検査を約束し、その日、美織は体調不良で早退させてもらった。