気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】

たぶん違う。きっといつものように不順なだけ。
半ば祈りながら帰宅途中で購入した妊娠検査薬を試した美織は、その結果を前にして愕然とした。

力が抜けて、ベッドサイドにヘナヘナと座り込む。


「嘘でしょ……」


陽性を示したラインが二本、くっきりと浮かび上がっていた。


「どうしよう」


史哉と付き合いはじめて三カ月。順調に交際を続けてきたが、結婚の話は出ていないし、将来を誓い合う言葉をもらっているわけでもない。
そんな彼に妊娠していると告げたら、どんな反応をするだろう。

困るか喜ぶか。

美織自身ですら戸惑いのほうが大きいのだから、史哉はそれ以上に困惑するに違いない。

(……でも黙ったままではいられないよね)

ふたりに関わる重大な話を美織の胸だけに留めてはおけない。
美織はバッグからスマートフォンを取り出し、通話の履歴を表示させた。
< 85 / 309 >

この作品をシェア

pagetop