気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】
ラ・ルーチェといったら世界に名を馳せる巨大ホテルグループである。今いる、このホテルはまさにそうだ。
史哉が、その大企業の次期社長というのか。
そんな――。
(トレーダーって言っていたのは嘘だったの? どうして……)
信じられない、信じたくない事実を前にして、美織は言葉も発せなかった。
「ええ、わかっていますよ。彼女とはひとときの戯れです。間もなく別れるつもりですから、父にもそのようにお伝えください」
史哉の口から、愛とは程遠い言葉が次々と零れていく。
『彼女とは遊びですから』
『ひとときの戯れです』
『間もなく別れるつもり』
インパクトのある三つのフレーズが美織の頭の中でリフレインした。
愛し、愛されていると思っていたのは美織だけ。身分を偽っていたのは、そこに愛がなかったからだと思い知る。遊びだから、伝える必要がなかったのだ。