気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】
元カノとはいえ遊びだった美織の居所を探し、今頃になってこんなところまで来たのはどうして。美織自ら姿を消してせいせいしたのではないのか。
頭の中に浮かぶ疑問の数々。もう二度と交わることなどないと思っていた史哉が目の前に現れ、言葉がすぐには出てこない。
「美織、話がしたい」
大きな戸惑いの中、茫然と立ち尽くす美織に史哉が繰り返す。
「私には話なんて……」
力なく首を横に振る。なんとか発した声はおかしなくらいに震えた。
今さら話なんてなにもない。
「僕の前から突然姿を消した理由をキミの口から聞かせてほしい」
史哉の言葉に驚かずにはいられない。
たしかに美織は、なにも言わずに史哉の前から姿を消した。でもそれは、信じて疑わなかった彼の心がそこにないと知ったから。美織に見せていた姿は、すべて偽物だったとわかったからだ。