気高きホテル王は最上愛でママとベビーを絡めとる【極上四天王シリーズ】
「あ、う、うん」
取り繕って浮かべた笑顔が引きつる。不自然に泳ぐ視線を止められない。
怪訝そうに史哉を見た祖父が口を開きかけたそのとき――。
「ママー!」
悦子に連れられて陽向が帰ってきた。
「……〝ママ〟?」
美織に走り寄る陽向を見て、史哉の表情が凍りつく。顔から血の気がなくなり、陽向を追う目は見開かれた。
「結婚、していたのか……」
ぽつりと呟いた彼の声が美織同様に震える。
「どうぞお引き取りください」
愕然とした様子の史哉に肯定はせずに告げる。