ふたりは同じ日、恋におちた。
俺は意を決してドアを開けた。
ここは保健室なんだ。
訪ねてくる理由はいくらでもあるはず。
「「………………」」
ドアを開け真っ先に目に飛び込んできたのは彼女、宮崎さんが鼻にティッシュを詰めている姿。
彼女は突然やって来た俺を見て、目をまあるくして驚いていた。
……流血って、もしかして鼻血のことだったのか。
心配なのは変わらないが、大きな怪我じゃなかったことに胸をなで下ろす。
あとはここへ来た“理由”を作ってさっさと出て行こう。
そう思って棚にあった絆創膏を手に取り、当たり障りのない質問を投げかけた。
「先生は?」
「い……今、出ていきました」
彼女は両手で鼻と口を隠すようにしてそう返事をする。
その姿を見て俺は、自分のことしか考えていなかったことに気がついた。
この状況で不要な会話はしたくないよな。
そう思ってすぐさま会話を終わらせる。
「あー……そっか」
先生が戻ったということは、安静にしてれば大丈夫なのだろう。
「怪我……ですか?」
だけど、今度は彼女から質問が飛んできて動揺した俺は「まぁ、そんなところ」なんて曖昧なことを口走っていた。
すると、突然彼女は背を向ける。