ふたりは同じ日、恋におちた。


どうしたんだろう?

一言も話さなくなった彼女を不思議に思うと、近くにあった空のボックステッシュが目に入った。

もしかして……。

俺の思い違いかもしれない。

そう思いながらも辺りを見回し、見つけたそれを手に取った。

ごめん、これだけ置いたら本当に出ていくから。

俺は開封したテッシュを彼女の真横にあったテーブルへとそっと置く。

「ん」

「あ、ありがとうございます」

「……他に何か必要なものある?」

「だ、大丈夫です!」

「……じゃあ、お大事に」

それは1年前、伝えられなかった言葉。


「ありがとうございます。せ、先輩もお大事にしてください」


「……ん?(あ、そうか俺も一応怪我人だったな)ああ、うん。ありがとう」

俺も彼女にお礼言い、保健室を後にした。


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