ふたりは同じ日、恋におちた。
あれは高校に入学して数ヶ月が経った頃の話。
「ここまできついの久々……」
12才の頃に初潮を迎えた私はその後、重い生理痛に悩まされていた。
常に薬を常備して、体はなるべく冷やさない。
そうやって対策をしていても、痛みまではコントロールできない。
その日は朝飲んだ薬が効かず、2限の終わりに保健室へと向かったのだ。
ようやく休める。
そう思ったけれど、ベッドは全て使用中。
「ベッドが開くまでソファーでも大丈夫かしら?」
「……は、い」
体がだるい、腰が重い、お腹が痛い。
でも、しんどいのは他の人も同じ。
そう思いながら、ゆっくりとソファーに腰を下ろした。
その数秒後のことだ。
目の前のカーテンが揺れて、人影のようなものが映る。
そして、中から制服を着崩した男子生徒が出てきた。
青いネクタイ……先輩だ。
「どうしたの、具合悪い?」
「いや、もうマシになったんで戻ります」
「さっき薬飲んだばかりじゃない」
「あとは教室で寝てれば治るんで」
佐野先生とそんなやり取りをしている先輩
を横目で見ていたら、不意に視線がぶつかった。
私は慌てて視線を床へと落とす。
直後、ドアの開く音がして再び視線を上げると先輩はもう出て行った後だった。