ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
だから、わたしが動く必要はないんだけど…。


6席中、5席を野球部で埋め尽くされていたら、嫌でも無言の圧がかかっているような気がして、どうにも落ち着かない。


わたしは急いでカフェオレを飲み干すと、両耳にイヤホンをつけ、慌てて席を立った。


――そのとき。


…ドンッ‼


わたしは、ちょうど真後ろにいた人にぶつかってしまった。


おそるおそる振り返ると、わたしよりも頭半分ほど背の高い…6人目の野球部の男の子だった。

体格もいいし、まるで壁のようだ。


「す…すみませんでした…!」


わたしは頭を下げると、逃げるように野球部たちに背中を向けた。


なにもされてないけど、知らない土地で、同じくらいの歳の男の子の団体に遭遇するなんて…ちょっぴりこわい。

できることなら、関わりたくない。
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