ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
だから、ようやくつかんだ念願の優勝。


みんなの喜ぶ姿が眩しくて、わたしも目に涙が浮かんだ。



「よう、莉子」

「…大河!」


そのあと、優勝旗を手にした大河がわたしのところへやってきた。


「言ったとおりやったやろ?『3球で決める』って」

「うん、そうだね」


思ったよりも元気そうな大河を見て安心した。


「あれ?もしかして…莉子、泣いてた?」

「…へっ!?な…なんで!?」

「だって、なんか目が赤いような――」

「そんなわけないじゃん…!」


わたしは、慌てて大河に背中を向ける。


「そんなことよりも、…大丈夫なのっ?」

「大丈夫って、なにが?」

「腕の痙攣…。まだ痺れてるんじゃないの…?」

「ああ…ほんまやなっ。優勝したんがうれしすぎて、すっかり忘れてたっ」
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