ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
わたしには、もう東京に戻る意味がなくなったのだ。


だけど、こっちの高校を受けるって言ったって、…もうすぐで11月。

しばらくの間受験勉強を離脱したわたしが、今からまたがんばったところで、それまで真面目に勉強してきた人に敵うわけがない。


とくに、こっちで行きたい高校もあるわけではないし。


…だから、もうどうでもいいやって。



「これは、わたしへの罰だと思ってるの」

「…急にどうした?それに、…罰ってなに?」

「わたし、…一瞬でも考えちゃったんだよね。東京に戻りたくない。大河や悠とこっちにいたいって」


最終的には、東京の高校を受験することを決めたけど、迷ったことがあるのは確かだった。


「…だから、わたしがわがままなことを願ってしまったせいで、神様は罰を与えたんだよ。東京に戻る理由をなくすために、お父さんとお母さんを――」
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