ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
「どうせ1人になるなら、わたしなんて初めからいないほうが――」

「…莉子は1人とちゃうっ!!」


突然、強い力で引き寄せられた。

その拍子に、地面に落ちる大河の学ラン。


驚いたのは、大河の大きな声にじゃない。


気づいたらわたしは、大河の腕の中にいたのだった。


「1人やと感じるなら、俺がずっとそばにおる…!莉子を1人にはさせへん!」


大河はそう言って、わたしを強く強く抱きしめる。


「…やから。自分はいいひんほうがいいとか、そんなこと…思うなや」


わたしを抱きしめる力は強いのに、その声は小さく震えていて、まるでこの夕闇に消え入りそうだ。


「それに、東京に戻ってほしくないって願ったんは、俺も同じや…。やから、俺にも責任はある…」

「…なんでそういう話になるのっ」
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