ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
大河こそ、なにひとつ悪くないのに。


「莉子がどうしても責任を感じるなら、俺もいっしょに背負うから。もう、莉子のそんな顔は…見たくないっ」

「…大河」


わたしの涙を親指で払う大河。


「莉子がいいひんくなるって考えただけで、…おかしくなりそうやった」


わたしが中学卒業後に東京に戻るということは、大河にも悠にも初めから話していた。


だから、そんな雰囲気…一度も見せたことがなかったのに。


「やから、もしここにいる意味がないと思うなら、…俺のためにここにいてほしいっ」


大河は、わたしの瞳をまっすぐに捉える。


「…大河、それって――」

「ここまで言っても、まだわからん…?」


少し不満そうに、首を傾げる大河。

そして、そっとわたしの頬に手を添えた。


「俺、莉子のことが好きやねん」
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