ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ

大河side

祈る思いでグラウンドを見つめていた。



俺たち中学3年生の引退をかけた、最後の夏の大会。

そこで、念願の決勝戦の舞台の上に立っていた。


あと、アウト1つという勝利目前のところで、青城中学は大ピンチに陥っていた。



9回の裏、ツーアウト。

点数は、わずかに1点差。


しかし、相手に土壇場で満塁を許すという…厳しい状況に立たされていた。


ヒットが出れば、同点。

最悪の場合、サヨナラだってありえる。


――こんなとき。

俺だったら、この状況を乗り切ってみせるのにっ…。


自分の力のなさに唇を噛みしめ、ただ祈ることしかできなかった。



俺は、初戦からピッチャーとしてマウンドに立って投げ続けていた。

この決勝戦だって、俺にマウンドを任せてもらった。


だからその期待に応えて、初回から無失点で抑えていた。
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