ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
「大河は、足手まといなんかじゃないよ」

「だって、俺っ……!」

「大河はここまで勝ち上がってくるのに、すごくがんばってくれたから。大河の活躍に、みんな感謝してるよ。…だから、あとは仲間を信じてみようよっ」


まさか、莉子にそんなことを言われるとは思っていなかった。


1勝するたびに、「初戦だからね」とか、「まあまあだったじゃん」とか、いつもどこか上から目線だったから。

実は、俺を評価してくれていたなんて――。


莉子のその言葉のおかげで、プレッシャーに押し潰されそうだった俺の気持ちが、なんだか少し軽くなった。


莉子の言うとおり、あとは仲間を信じるしかない。


そう思って、俺は降板してからずっと祈り続けていた。


――しかし。

俺の祈りが届くことはなく、徐々に点差を詰められていく。
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