ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
そして、ついに9回の裏ツーアウトというところで、逆転サヨナラの大ピンチに追い込まれてしまっていたのだった。



ただただ祈ることしかできない…俺。


手の痺れはさっきよりはだいぶよくなったが、まだ残っている。

だけど、あと1人くらいならなんとかなるような気もする。


…どうする。


監督に懇願して、再登板をさせてもらうか――。

でもこんな不完全な俺じゃ、チームに迷惑をかけるだけだろうか――。


そんな葛藤を何度も繰り返していた…そのとき。


「…大河、いけるか?」


ベンチに響く、監督の声。

俺は、瞬時に振り返った。


なぜならそれは、俺がずっと待ち望んでいた言葉だったから。


こんな俺でも、監督は信じてくれている。


そう思ったら、俺がこの局面を乗り越えるしかないという後押しに繋がった。
< 133 / 294 >

この作品をシェア

pagetop