ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
わたしがいつまでも駄々をこねてたら、お父さんもお母さんも困っちゃうだろうし。


だから、今日からの新生活、ちょっとがんばってみようと思った。


…まあ、3年間だけのお付き合いだけどね。


それから、お父さんを玄関で見送ると、わたしはお母さんといっしょにマンションを出たのだった。



中学までは、徒歩15分ほど。

前に通っていた小学校までの距離と、それほど変わらない。


…なのに。

中学校は高台にあり、そこまでは急な上り坂が続いていた。


慣れない急勾配な坂に、校門に着くころにはわたしはハアハアと肩で息をしていた。

お母さんも、日傘をさしてハイヒールを履いて、実に上りづらそうにしていた。


「この坂…。これから毎日上らなくちゃいけないの…!?」

「でも、帰りは下り坂だから大丈夫よっ…」
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