ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
しかし、大河はそんなプレッシャーを感じさせない力強い投球で、相手バッターを圧倒した。


結果、その回を無失点で抑えることができ、この試合も明光学園が勝利した。


明光学園は、甲子園出場の常連校。

いつものように勝ち上がれば、こんなところで負けるわけがない。


わたしが応援しなくたって、明光学園にはその力がある。


それでも、大河が試合に出るのならと思って、わたしは予定が合えば、明光学園の試合の応援に向かった。


わたしだけじゃなく、明光学園の応援はたくさんいる。

わたし1人の声なんて、すぐにかき消されてしまうほどに。


マウンドに立つ大河に、わたしの声が届いているはずもない。


まだ、大河と仲直りできていない。

会話すらできていない。


そんなぎくしゃくした今の仲ではあるけど、わたしはやっぱり、野球バカな大河のことが好きなんだ。
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