ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
そんなことを考えたら、自然と涙が溢れてきた。


「…莉子」


隣で泣きじゃくるわたしを見て、悠は眉を下げている。


泣いたってなにも解決しない。

ただ、悠を困らせるだけなのに…。


悠はなにも言うことなく、ただわたしのそばにいてくれるだけだった。


通り過ぎる人からわたしの泣き顔を隠すように、ずっとそばに――。



そうして会話を交さないまま、おばあちゃんの家に着いた。


「…ごめん、悠。こんなところまで送ってもらっちゃって」

「ええよ、べつに。オレが送るって言ったんやし」

「悪いんだけど、おばあちゃんに会ってもらうの…また今度でもいいかな?」


今は、部屋で1人になりたい。


「おう。オレならいつでもっ」


悠はそう言って、にっこりと笑ってくれた。

そんな悠に、涙でくしゃくしゃになった顔でなんとか笑ってみせる。
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