ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
「それじゃあ…」


そう言って、悠に背中を向けた――そのとき。


「大河じゃないと…あかんの?」


そんな悠の声が聞こえたと思ったら、突然後ろから強い力で引き寄せられた。


そして気づいたときには、わたしは後ろから悠に抱きしめられていた。


「ゆ…、悠…?」


今の状況に頭がついていけず、首を少しひねって悠の表情を窺う。


「…どうしたの?なんの冗談?」

「冗談なんかで、こんなことしいひん」

「それなら…。ほら…今日暑かったし、疲れてどうにかなっちゃったとか?」

「どうもなってへん。いたって真面目や」


『真面目』って言ったって――。

こんな状況…、どう考えたっておかしいよ。


「…ほんまは、ずっとこうしたかった」


首筋に、悠の熱い吐息がかかる。


「オレ…ほんまは中1のころから、…莉子のことが好きやった」
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