ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
「大河!やっぱお前、すげーわ!」


練習試合前のミーティングのあと、悠が俺の肩を組んできた。


「1年で選ばれたの、お前だけやろ?しかも、さっそくピッチャーで登板とか、ほんますごいわ!」

「お…おう!がんばるわっ」


悠は手を振ると、応援席のほうへ向かっていった。


これまで、ずっと悠とバッテリーを組んできた。

そんな悠が、あんな遠いところの応援席にいる。


今まですぐそばにいた悠の存在が――。

なんだか…遠く感じてしまった。


練習試合とはいえ、悠もこのグラウンドに立ちたかったはず。

かっこ悪いところは見せられない。


それに、莉子も見てくれている。


だから俺は、たとえ練習試合とはいえ、精一杯投げきった。


そして、試合は7ー0で明光学園が圧勝した。



試合後、ベンチに座っていると――。
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