ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
次、試合に出させてもらえる保証なんてないのだから。


そのせいで、なかなか莉子と連絡を取れない日が続いた。

遅くまで練習をして、ヘトヘトになって帰ってきたら、そのまま寝落ちしてしまうことも。


でも、気づいたときにはなるべく返信するようにしている。

【おはよう】、【おやすみ】など、そんな些細なメッセージでも。


付き合う前は、どうでもいい内容を頻繁に送り合っていたから、そのときからと比べたら、考えられないくらいメッセージのやり取りが減った。


だけど、莉子ならわかってくれてる。

なかなか会えなくたって、連絡が取れなくたって、そんなことで悪くなるような仲じゃない。


俺は、心のどこかでそう思っていた。



6月下旬のある日――。


この日は事前に、練習がいつもより早く終わると言われていたから、莉子と会う約束をしていた。
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