ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
土日も練習や試合ばかりだったから、莉子と会うのは本当に久しぶりだ。


予め告げられていたとおり練習も早く終わり、莉子と待ち合わせしているカフェへ向おうとした――そのとき。


「大河!ちょっといいか?」


部長である3年生の先輩に声をかけられた。


「どうしたんすか?」

「悪いんやけどさ、マネージャーを家まで送ってくれへん?」

「…えっ。…俺がっすか?」


野球部では、部員がマネージャーを家まで無事に送り届けることが決まりとなっている。

しかし、その役割は3年生のはず。


「オレ、今から進路のことで担任のところに行かなあかんくなって。たぶん時間かかるやろうから、代わりに大河に頼みたいねん」

「でも、俺も今日はこのあと…」


周りを見ると、まだ他の3年生も残っていた。


俺のその視線に気づいたのだろか――。
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