ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
「あのあと追いかけたんやけど、見失って渡せへんかってん」


…追いかけた?


『…あっ!ちょっと待ってや!』


あのときのあれは、そういうことだったのか…!


てっきり、ぶつかったことを怒られるのかと思って…。


「イヤホン充電できひんくて、困ってたんとちゃう?」

「…う、うん。そうなの。ありがとう」


もう戻ってはこないと思っていたから…。

見つかって、すごくうれしい。


「どういたしまして。…って、なんで標準語?」


…やっぱりそこは、違和感を感じるよね。


「わたし、東京から引っ越してきたばかりなの。だから、まだこっちの生活に慣れてなくて…」

「へ〜。わざわざこんな田舎に引っ越してきたんやっ。周り、みんな知り合い同士でビビったやろ?」

「…うん。すごく浮いてる感じがするっ」
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