ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
そして、小学校に入り野球チームに所属。


ずっと夢見ていた、甲子園の舞台。


その切符をつかむまで、あと少し…。



その日の練習は、次の準決勝に備えて、レギュラーメンバーの特別メニューが組まれていた。


残されたのは、レギュラーとベンチ入りのメンバーのみ。

その他の部員は、先に帰ることに。


その中には、悠の姿も。


「おいっ、ゆ――」

「大河ー!練習始まるぞー!」


悠に声をかけようとしたが、先輩に呼ばれてしまった。


悠の背中を見つめることしかできず、俺は練習に加わったのだった。



あと、2回勝てば甲子園。

そうしたら、莉子とちゃんと向き合おう。


それまでは、試合と練習に専念する。


そう決めて、俺は今日も泥だらけになりながら、汗を流す。



だから、その間に莉子と悠がそんなことになっていたなんて――。

このときの俺が、知るよしもなかった。
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