ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
今日の俺は、どこか弱気だ。


「大河、頼むで!」

「お前のその豪速球で圧倒してやれよ!」


レギュラーの先輩たちに、まるで気合を入れられるかのように、痛いくらいに背中を叩かれる。


…そうだよな。

この試合は、俺だけの試合じゃない。


ピッチャーを任された俺が、こんな弱気でどうする。


俺はキャップを深く被ると、マウンドを睨みつけた。


絶対勝つ。


そうして、両校にとって大事な決勝戦の火蓋が切って落とされた。



相手は、明光学園と同じく甲子園出場の常連校。

去年の夏の大会も決勝戦で当たり、なんとか明光学園が勝利した。


しかし、今年の春のセンバツは相手校が出場。


どちらも甲子園出場には、相手校には絶対負けるものかという並々ならぬ思いがあった。



序盤から、点の取り合い。
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