ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
「そうそう。お前は、ここまでよう投げてくれた」

「あとは、オレらに任しとき!」


唇を噛む俺に、先輩たちは心強い言葉をかけてくれた。



そして、終盤。

先輩たちの宣言どおり、2点を取り返し、7ー8の1点差まで詰め寄った。


残り1点で追いつく。

そして、2点入れば逆転サヨナラ。


そうした状況の9回の裏の明光学園の攻撃。


2アウトであとがないが、ランナーは2塁と3塁にいる。


あと1本、長打が出れば…!


俺は、祈る思いでマウンドを見つめていた。


――そして。



カキーーーーーーンッ!!


高鳴る音。

弧を描いて、勢いよく青空へと飛ぶ白いボール。


そして、そのボールが落ちた先は――。


…外野のグローブの中だった。


あと少しのところでホームランだったのに…。
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