ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
「まあ、でもみんな悪いヤツとちゃうし、そのうち仲よくなれるから大丈夫やって!」

「あ…ありがとう」


ほんとに周りは知らない人ばかりだから、偶然だったとはいえ、前に出会った顔なじみの人がいて、少しだけ安心した。


「…で。そこ…、わたしの席なんだけど…」

「ああ、そやったな。勝手に座ってて、ごめんごめん!」


言えばちゃんと席を譲ってくれたし、わたしのイヤホンケースをずっと持っていてくれていた。


それだけで、優しい人なんだろうなとはなんとなく思った。



「そういえば、名前は?」

「…え?えっと…、桜庭です」

「ちゃうちゃう!下の名前っ」

「下…!?桜庭…莉子です」

「莉子なっ。俺は、矢野(やの)大河。こっちは(ゆう)


いきなり下の名前で呼ばれて、少しびっくりした。
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