ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
先攻の明光学園は、あと9回の表しか攻撃がないというタイミングの8回の裏…相手チームの攻撃。


ここで、大きな1点を入れられてしまったのだった。


なんとかそのあとは抑えたが、ここにきて3ー2の1点差。

俺たちの攻撃のチャンスは、…あと1回。


一瞬、一昨年のスリーランホームランが頭によぎった。

あれで逆転されて、一昨年は甲子園に行けなかったから。


不安が残るまま迎えた、9回。


味方がなんとか粘ってくれて、2塁と3塁にランナーがいる。

しかし、ツーアウトで迎えた…俺の打席。


緊張で、震える手。

こんな状況で、プレッシャーを感じないほうがおかしい。


一打出れば、同点の可能性。

しかし、俺がここでミスれば…。


すべてが終わる。


――そのとき、ふと左手首に視線を移すと、赤と黄色のミサンガが目に入った。
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