ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
…莉子のミサンガ。


『今度は、『甲子園優勝できますように』って、お願いしておいたからっ』


莉子の言葉が思い出される。


そうだ、俺は1人じゃない。

この場には、莉子もいっしょだ。


待ってろよ、莉子。

かっこいいところ、見せてやるからな。


俺は、バッターボックスに立つと応援席を見つめて、そして相手ピッチャーに目を向けた。



1ボール、2ストライクと追い込まれた…4球目。


俺が振ったバッドは、相手ピッチャーが投げた変化球を捉え――。

前進守備だった外野の頭上を飛び越えていったのだった。


歓声で沸き立つスタンド。


結果は、ツーベースヒット。

そして、土壇場で2点の追加で逆転したのだった。


その後のバッターがフライで打ち取られ3アウトとなったが、流れは完全に明光学園のものだった。
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