ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
9回の裏の守備も俺は全力で投げきり、三者凡退。


その瞬間、明光学園は甲子園優勝を成し遂げたのだった。


チームメイトと抱き合い、悠と力づくでお互いの頭を撫で合う。


去年、一昨年と悔し涙を流したが――。

今年は、最高のうれし涙となった。



その日の帰り。

俺たち野球部員を乗せたバスが、学校へと到着する。


バスを降りた俺を待ってくれていたのは――。

もちろん莉子だった。


「おかえり、大河」


にっこりと微笑む莉子。


「…それと。優勝おめでとう、大河」

「ああ。ありがとう、莉子」


俺たちは人目を気にすることもなく、まるで引き寄せられるかのように抱き合った。


あの場面でヒットを打てたのも、そのあとの相手の攻撃を抑えることができたのも――。

すべては、莉子のミサンガのおかげ。
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