ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
莉子が彼女で、本当によかった。


俺は大切な莉子を、その腕の中でギュッと優しく抱きしめたのだった。



高校3年の夏。

最高の結果で、悔いなく引退を迎えることができた。


夏休みが明け、俺と悠には有名大学から次々と声がかかった。

悠は、学校に通いながらも野球を続けたいという思いがあり、どの大学にしようかと検討中。


俺はというと――。


「当然、大河はプロやんな!」

「ひょっとすると、ドラフト1位指名なんちゃう!?」


周りは、勝手にそんなことを言っている。


確かに、野球を始めたころの俺の夢は、『プロ野球選手』になることだった。


――しかし、俺にはその夢より大事なものができていた。


甲子園の成績がどうあれ、前から決めていたことだった。


それは――。



「…は……?今…なんて?」
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