ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
そして、もう自らの手で莉子を手放すようなことはしたくないと、改めて心に誓った。


だから、俺は莉子のそばにいなければならない。


いや。

俺が、莉子のそばにいたい。


もしそれがプロ入りを諦めることだったとしても、俺は莉子のそばにいられたらそれでいい。

隣で莉子から笑ってくれるなら、他になにも望まない。


それくらい、俺は莉子のことを大切に想っているから。



『莉子と同じ清鳳大学に行く』


そのことを伝えたら、莉子はどんな顔をするだろうか。


驚くかな?

うれしがるかな?


どちらにしても、莉子の反応を想像するのが楽しみだった。


――しかし。



「…なんで?」


学校からの帰り道。

隣を歩いていた莉子から、そんな言葉が返ってきた。


驚くわけでもなく、うれしがるわけでもなく――。
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