ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
そういうときは、スマホの写真を見返す。


俺のスマホにはまだ、莉子との思い出の写真が詰まっていた。

そして俺の記憶の中には、今でも莉子の笑顔が残っている。


莉子と過ごした日々。

そして、これから莉子と迎える日々が当たり前のように続くと思っていた。


今はそれが、どんなに幸せなことだったかと思い知らされる。



大好きだった莉子へ。

俺は今でも、情けないくらいお前のことが好きだ。


莉子が俺のことをもうなんとも想っていなかったとしても、俺はずっと莉子のことを想っている。


莉子と別れてからの俺は、まるで抜け殻のようで――。

あとには、野球しか残されていなかった。


そして、野球に救われた。


こうして、プロとして今活躍できているのも、あのとき莉子と別れて、俺には野球しかないと気づかされたからだ。
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