ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
応援する悠の姿を、後ろの応援席から眺めるだけだったから。


「あっ…えっと、その…。ちょっと、様子を見に…」

「様子…?もしかして、…大河?」


悠の問いに、わたしはぎこちなく首を縦に振った。


『大河じゃないと…あかんの?』


あのときの悠の言葉が思い出されて、素直にうなずくことができなかった。


「大河って、…まだいるかな?」

「大河なら、もうとっくに帰ったで」

「…えっ」


それを聞いて、わたしは言葉に詰まった。


――でも。

そうだよね。


すでに帰っていたって、なにもおかしくはない。


「それに、もう大河のことはいいやろ?」


背中を向けたわたしに、悠が言葉を浴びせる。


「大河とは、終わったんとちゃうん?確かにあいつは今日の試合のことで落ち込んでるかもしれへんけど、情けで声をかけても――」
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