ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
「…そんなんじゃないっ!」


わたしはそう叫んで、振り返った。


「悠の言うとおり、わたしたちの関係はもう終わってるかもしれないっ…。でも、ここにきたのは大河への情けとかじゃない!」


言葉に詰まりそうになりながら、わたしは悠との距離を詰めた。


「好きな人が落ち込んでる。…だったら、そばで寄り添ってあげたいって思うのは、当たり前のことじゃないの?」


まさか、悠に対してこんなに怒ることがあるだなんて、自分でもびっくりだった。

だけど、それが今のわたしの正直な気持ちだった。


「…大河は、もう莉子のことなんてなんとも思ってへんかもしれへんのに?」

「もしそうだったとしても、わたしは…友達としてそばにいるっ」


わたしがそう言うと、なぜか悠の表情が緩んでいく。

そして、呆れたようにため息をついた。
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