ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
前から、大河との距離がやけに近かった。


「あたしは今日、野球部を引退した。もう野球部員やない。つまり、『部内恋愛禁止』なんていう掟も関係ない」


大河に迫る先輩。


…ほら、やっぱりっ。

引退した直後に、大河に告白してる…。



「大河、今の彼女とうまくいってへんのやろ…?」


先輩に痛いところを突かれた。


わたしとの関係が微妙なところに、大人の色気のあるマネージャーの先輩からの告白。

ここで気持ちが傾いたって仕方がない。


だって最近の大河は、わたしよりも、この先輩と過ごす時間のほうが長かっただろうから。


「あたしやったら、ずっと大河を支える自信がある。だって、マネージャーとしてそばで大河を見てきたんやから」


…もう、これ以上この場にいたくない。


わたしはまた部室の陰に隠れて、力なくしゃがみこんだ。
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