ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
その声に、わたしのほうこそ驚いた。


「り…、莉子?」


大河はというと、キョトンとしてわたしを見つめた。


「…こんなところで、なにしてんの?」


そう尋ねる大河だったけど、すぐにしまった!というような表情を見せた。


「もしかして…。さっきの先輩との会話…、全部聞こえてた?」

「…聞いてたよ。あのマネージャーの先輩から告白されてたのも、全部」


本当は、聞くつもりなんてなかった。


でも、他にだれもいない静かなグラウンドで、あんなふうに告白されてたら、嫌でも聞こえちゃうよ。


「…だから、全部聞いてた。大河が、わたしのことをむちゃくちゃ好きだっていうのも、全部」


わたしのことを悪く言うようなら、ぶっ飛ばしてやろうかと思ったけど――。


そうじゃないなら…、許すっ。
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