ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
なんだか無性に恥ずかしくなってきて、わたしは大河から顔を背けた。


――すると。


「ちょっと…大河!なにす――」


突然体を引き寄せられて、驚いて振り返る。

そして、気づいたときには、大河に抱きしめられていた。


「ごめん。ちょっとの間だけ、こうさせて」


大河の切なくて甘い声が耳元で囁かれる。


そんなふうに言われたら――。

断るに…断れないじゃん。


だって、わたしもずっとこうしてほしかったんだから。



そのあと、公園に場所を移して、久しぶりに大河と話をすることができた。


今だから言える。


野球部のマネージャーにヤキモチを焼いていたこと。

そのせいで、大河に八つ当たりしてしまったこと。


大河は、わたしの話を静かに聞いてくれていた。



「莉子は…。悠とは…どうなったん?」
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