ありがとう、ばいばい、大好きだった君へ
…だけど、いつまでも幸せな気分に浸ってはいられない。


わたしは、大学受験のための勉強をしなければならない大事な夏でもあった。


きっと大河は、有名大学からのオファーやプロ入りの話が浮上していることだろう。


いっしょになって喜びたいところだけど、わたしが目指す清鳳大学への受験勉強は、絶対に欠かすことはできない。


清鳳大学は家から電車で通える距離にあるし、そこの教育学部に興味があった。


大河に話したら、「莉子なら先生に向いてるやん」とも言ってくれた。


わたしが清鳳大学に入ったら、大河とは離ればなれになるだろうけど――。

大河がプロになっても、違う大学に行ったとしても、これからも野球を続ける大河を応援したい。


わたしは、そう思っていた。


だからこそ、夏休みが明けたあと――。
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